識者が見る、2ステージ制のメリット・デメリットとは

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サッカーファンの間ではデメリットの方が多く語られているようですが、識者によるメリット・デメリットの分析を見つけたので紹介します。

◆2ステージ制の「メリット」
福田正博氏(解説者/元浦和レッズコーチ、元日本代表)
「Jリーグは今、露出がかなり少なくて、どのチームに誰がいて、どんな大会をやっているのか、知らない人が多い。粛々とやっている感じがして、コアなファンだけで盛り上がっている印象がある。それでは(人気の)広がりがないので、多くの人たちを巻き込んでいくような盛り上がりを作っていかなければいけない。2ステージ制を採用すれば、基本的には優勝が決まる瞬間というか、リーグが盛り上がる”山場”が1年で2回、チャンピオンシップがあれば3回に増える。ということは、メディアの露出が多くなるので、注目度が高まる。注目されれば、人も集まる。結果、テレビ中継やスポンサーが増えたりするかもしれない」

望月重良氏(解説者/SC相模原代表、元名古屋グランパスなど)

「ファーストステージで結果が出なかったとしても、そこでリセットされて、セカンドステージでは再びゼロからのスタートになる。当たり前のことだけれども、改めて優勝を狙えることで、選手のモチベーションは上がる」

鈴木正治氏(解説者/元横浜マリノス、名古屋グランパスなど)

「もし現状の18チームで、ファースト、セカンド、それぞれのステージで1回戦総当りという形でやるのであれば、短期決戦に近い形になるので、選手としては、最初から全開でプレイできる。すべての選手、クラブがそういう意識で戦うようになれば、ひょっとするとサッカーの質は上がるかもしれない」

杉山茂樹氏(サッカージャーナリスト)

「日本は、欧州とは風土が違う。そうした中で、年間通してのリーグ戦は浸透しなかった。それに、UEFAチャンピオンズリーグと違って、AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)に対する魅力もないから、ACL圏内(3位以内)に入れるかどうか、という盛り上がりもない。2ステージ制にすれば、盛り上がる機会が増えて、エンターテインメント度が上がる」

浅田真樹氏(スポーツライター)
「ナビスコカップや天皇杯なども、決勝戦になるとほぼ満員になる。つまり、タイトルがかかっている試合に対しては、誰もが魅力を感じていて、敏感であることは間違いない。そういう機会が増えることはメリット。そうした題材はメディアも扱いやすいので、露出が増える。それによって、普段サッカーに興味のない人、詳しくない人でも、関心を持つ可能性があって、必然的に人気の拡大につながるのでは」

◆2ステージ制の「デメリット」
田中誠氏(解説者/元ジュビロ磐田、アビスパ福岡など)
「複数のチームでポストシーズン大会を行なうとしても、2ステージ制だと、年間トータルで勝率の高いチームが優勝できない可能性がある。いちばん強いチームはどこなのかがはっきりしない」

鈴木正治氏
「1995年シーズンでは、最初のステージ(サントリーシリーズ)では、自分が在籍していた横浜マリノスが優勝して、次のステージ(ニコスシリーズ)では、ヴェルディ川崎が優勝。その後、チャンピオンシップではマリノスが2勝して年間王者になったけれども、サッカーの質はヴェルディのほうが良かったし、実際に年間通しての勝ち点はヴェルディのほうが多かった(ヴェルディ=108、マリノス=98)。だから、優勝したのはうれしかったけど、「年間王者」と言われても、なんとなくしっくりこなくて、モヤモヤしたものがあった。2ステージ制だと、気持ち的にすっきりしないものがある」

渡辺達也氏(サッカージャーナリスト)

「現状の18チームで、ファーストステージ、セカンドステージそれぞれで1回戦総当りという形で行なうと、ホーム、アウェーの試合の数がステージごとで異なる。要するに、不平等。実際、2003年シーズンのセカンドステージでは、1位~3位まで勝ち点26で並び、得失点差で優勝が決まったが、優勝した横浜F・マリノスはホームが1試合多くて、2位のジェフユナイテッド市原と3位のジュビロ磐田はアウェーが1試合多かった。その際、公平性を欠いていると感じた」

川端康生氏(フリーライター)

「J1とJ2でリーグ戦のシステムが異なることは、一般のファンにとってはかなりややこしい話。非常にわかりづらくて、知っている人が知らない人にルールを説明するのは、かなり面倒なことになりそう。テレビのニュース番組などで、開幕前にJリーグの大会方式を説明する機会があった場合、10分くらいの時間を要するようだと問題がある」

菊地芳樹氏(学研ストライカー編集長)

「ステージ制にすると短期決戦に近い形になるので、突貫工事で作ったチームとか、付け焼刃の戦術で戦うチームが出てきそう。長い期間でチームを作り上げて、いいサッカーをして、お客さんを集める、という考えには至らない可能性がある。あと、サッカーファンは、欧州各国の伝統あるリーグと違ったスタイルになることで、恥ずかしさを感じるというか、プライドを傷つけられるのが嫌なのではないか」

【Jリーグ】2ステージ制復活案の是非。識者はどう見ているのか|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|J Footballより

ざっくりまとめれば、メリットの方は「タイトルがたくさんあれば盛り上がる」「短期決戦で迫力が出る」デメリットは「年間王者がスッキリしない」「ルールの複雑化」というところです。

これを見ると、どちらの言うことも一理あるとは思います。

プロ野球で導入されたプレーオフがわかりやすい例だと思います。
プレーオフは確かに楽しい。視聴率も高い。
けれど、その一方で年間3位のチームが日本一になったりする。
各リーグ6チームしかないのに3位って、中位じゃないですか。どうもスッキリしない。

けど、元々プロ野球を見ていたファンの中でこれをきっかけに見るのをやめたって人がどれだけいるのかと。
結局見ちゃうんですよね。文句言いながら。
そして慣れていく。
そう考えると、新規の顧客が取れそうな方に流れていくのは当然でしょう。

今回の2ステージ制で気になるのは次の点。
◆なぜ、過去に止めた制度を引っ張り出してきたのか
◆なぜ、入れ替え戦をやめたのか

この2ステージ制、過去に例がないことなら試してみるのもわからなくはありません。
しかし、過去にやってみて反対があって今の制度になったわけです。
なぜそれを今戻そうとするのか。
確かにあの頃のJリーグには今より勢いがあった。
けれど、それは2ステージ制が盛り上がっていたからではないはず。
そこら辺、見失っちゃいけません。

さらに、入れ替え戦の廃止。
あれほど最高のエンターテイメントはないでしょう。当事者には悪いけれど。
入れ替え戦だって、満員になる試合のうちのひとつだし、勝ったらJ1、負けたらJ2でご新規さんにもわかりやすい。特にJ2側のチームからすれば「勝ったらJ1に上がれる試合」と説明すれば知り合いだって誘いやすい。
選手の全力プレーだって期待できます。
会場やチケットの手配など、諸々手間があったのだろうとは予想できますが、こういう試合をなくしておいて2ステージ制と言われてもなんだか納得がいかない。

ひとまず今2ステージ制に反対する私たちができることは、可能な限り反対の声をあげることと、草の根運動でJリーグの観客動員数を増やしていくことくらいでしょうか。

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