マリノスサポーターの人種差別に関する雑感諸々

2014/8/25 2014/9/6 ひとりごと, サッカーニュース

先日行われた横浜・F・マリノスvs川崎フロンターレの試合。
その中で、マリノスのサポーターがフロンターレの外国人選手に対してバナナを振ったことが差別行為として問題になりました。

とにかく早いマリノスの対応

この問題ですばらしかったのはマリノススタッフの対応。
なんと、試合中には事態を把握、該当者を特定し試合終了後には事情聴取を行っていました。

横浜Ｍによると、当該サポーターは１０代後半の男性。前半４０分過ぎに、ピッチに向かってバナナを振り回す差別的行為を行った。横浜Ｍでは試合中に交流サイトのツイッター上に動画がアップされていることに気づき、当該サポーターを特定。試合終了後、約１時間にわたって事情聴取を行った。

　本人は「特定の選手に向けたものではなく、挑発行為だ」と主張。バナナはハーフタイムに食べたという。だが、横浜Ｍの嘉悦朗社長（５９）は「心情としては限りなく（人種差別行為という）疑いが強い」と語り、厳罰の方針を説明した。

横浜Ｍサポーターが人種差別的行為/サッカー速報/デイリースポーツ onlineより

そして、当日中には無期限入場禁止の処分を発表。

弊クラブとしましては、このような挑発行為は決して許されるものではないと考えております。
本件に関する行為者に事情を確認した結果、挑発行為であったことを認めましたので、当該行為者に対して無期限入場禁止処分を下すことと致しました。

川崎フロンターレ戦における挑発行為と処分について | 横浜F・マリノス公式サイトより

日本人がバナナを差別の道具とするのは滑稽

日本ではバナナに差別的な意味はまったくなかったはず。
バナナをお猿さんの食べ物として差別の道具とするのはヨーロッパの文化です。

そもそも、我々日本人を含む黄色人種だって白人の彼らに言わせればイエローモンキーなのですから、バナナで差別をされる側なのです。
そんなことを考えれば、Jリーグでバナナを差別の道具として使うのはなんとも滑稽な話。

そんなわけで、バナナを振ったから人種差別と言われてもなんだかピンとこないなーというのが個人的な感想。
それなのに、ヨーロッパの真似をしてバナナを差別に使うのはまさに猿真似。

もっといい方法があっただろうというのもおかしな話ですが、なんだか全体的に滑稽だなぁというのがもやもやポイントです。

未然に防ぐことはできたのか

では、この件を未然に防ぐことはできたのでしょうか。

完全に防ぐ方法として考えられるのはスタジアムへのバナナの持ち込み禁止でしょう。
が、これってとっても現実的じゃない。

差別に使える道具なんて、考えればいくらでもあるわけで、そのすべてを持ち込み禁止にするのは現実的ではありません。
問題を起こした道具を次々と持ち込み禁止にしていたらキリがありません。
最終的には荷物の持ち込み禁止なんてことになりかねません。

現実的に考えれば、問題が起こるたびに処分を課していくという方法しかないのでしょう。

この件の処分はどうなるか

この件の処分を考えるときに、同じく人種差別問題を起こして無観客試合を行った浦和レッズの件が良く取り上げられます。

浦和だってあれだけの処分を課されたのだからマリノスにも同じような処分があるべきだ、無観客試合だ、勝ち点剥奪だという声がよく聞かれます。

が、この2つの問題は似ているようでまったく別の問題だと思うのです。
浦和の件が重い処分を課された要因は、おそらく差別行為そのものよりも差別行為をクラブが放置したことにあります。
事態を通報したサポーターがいたにも関わらず、試合終了まで差別弾幕を取り下げさせることもせずにいたクラブへの制裁という意味が強いと考えられます。

それに対して、今回のマリノスは上記の通りの迅速な対応。むしろ、浦和の件があったからこそのこの迅速な対応になったのかもしれません。
クラブになんの制裁もないというのも考えにくいことですが、おそらく前回のような重い処分にはならないのではないでしょうか。