ブーイングのないスタジアムは本当に健全なのか

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「サッカーのスタジアムはブーイングがあるから行きたくない」「ブーイングはすべきではない」というのは、時々聞かれる意見です。
理由として多いのは「みっともない」「子供に悪影響」というもの。

「行きたくない」というのは個人の感想なのでどうしようもないとして、本当にブーイングは「すべきでない」のでしょうか?

2014-07-27 20.31.55

ブーイングの意味

一言にブーイングと言っても、そこには様々な意味があります。

・相手にプレッシャーをかける
・不満を表明する

といったところが主に使われる理由だと思います。

なぜ「みっともない」と言われるのか

では、ブーイングがみっともないと言われるのはなぜなのでしょうか。

・味方を後押しするのではなく、相手にプレッシャーをかけるのはみっともない
・表立って不満を表明するのはみっともない

といったところでしょうか。

これについてひとつずつ考えてみます。

味方を後押しするのではなく、相手にプレッシャーをかけるのはみっともない

これは、応援に対する考え方の違いではないかと思います。
たしかに、ひたすら味方を応援し続けるのもひとつのスタイルです。

しかし、サッカーはミスのスポーツです。相手がミスをしなければ、絶対に自分たちにボールが回ってくることはありません。
そのミスを誘発させ、自分たちのチームのチャンスを増やす。それがブーイングの後押し的な側面でもあります。

表立って不満を表明するのはみっともない

これは、とっても日本人的な考え方だと思います。
不満は黙って押さえ込むのが美徳という考え方ですね。

一方で、スタジアムの文化はヨーロッパや南米の影響を強く受けています。
こちらは、不満ならば不満であると表現すべきという文化。ここで、文化の対立が生まれるのでしょう。

けれども、黙って不満を押さえ込むというのは本当に健全でしょうか?
日常生活では、立場によってそうせざるを得ないことがあるかもしれません。何でもかんでも不満を表明するというわけにはいかないでしょう。

しかし、スタジアムは非日常。たまにはそういう場面で思いっきり感情を爆発させたほうが健全なのではないでしょうか。
何でもかんでも押さえ込むより、不満を表明すべき場所、していい場所では自分の不満を表明するということも大事なのではないかと思います。

味方選手へのブーイング

サポーターの中でも意見が分かれるのがこちら。味方選手へのブーイングです。

ブーイングをする派の意見としては「愛情のあるブーイングだ」「厳しい態度をとることでチームが成長する」というのが主なものです。

それにたいしてブーイングしない派の意見としては「チームが苦しいときこそ声援を送って鼓舞すべきだ」「プロに対して成長を求めてブーイングするなど上から目線だ」というものが多いです。

この意見、どちらが正しいということはないと思うのです。応援にはそれぞれのスタンスがあります。

なので、この件に関しては個人的なスタンスを。
ただの負け試合でなんでもかんでもブーイングをするというのは違います。走って走って走っても、勝てない試合というのはあるのです。そんな負け試合ならば拍手で出迎え声援を送ります。

しかし、長いシーズンの中ではどうしてもふがいない試合というのは出てくるものです。
どーした東京!こんな東京を見るためにスタジアムに来たんじゃないぞ!という感情。
とても選手たちを拍手で出迎える気分になれない試合もあるのです。

そんな時、さっさと帰ってしまう人もいます。実際、東京サポーターの負け試合後の撤収の早さは尋常じゃないです。
さっさと帰って食べて飲んで憂さを晴らすのです。
そんな光景はきっと選手たちにとっても堪えるものでしょう。

それに対して、選手たちに「不満だった」と表明するためのツールがブーイングです。
それは「もっとできると信じてる」ことの裏返しでもあるのです。もっとできることを知っているから不満だ。そんな感情なのです。

自チームに対してブーイングしない選択

味方選手に対してブーイングをしないというのを応援団の方針として統一しているチームもあります。

代表的なのが川崎フロンターレ。
フロンターレがブーイングをしない理由としてこんな資料がありました。

サポートも応援も知らない人が、ニュース一つを見て、「うわー、サポーターって何様? 嫌な人種。」と思い、サッカーに対しても嫌悪感を露にする。

露にする、と言ったところで、その人たちはスタジアムに足を運ぶことなど滅多にないのだから、説得のしようもなければ、理解を得ることもありえない。

今までこうして長々と書いてきたことも、おそらくはid:sean97氏には、まったく響かないだろう。

だが、観客動員を増やして、チームをさらに発展させるためには、少しずつ「外野」であった人々を「内野」に引き込まないといけない。

だから、外野がうるさく思わないように、そういう行動を取らない、というのが川崎の応援団の選んだ道なんだと思う。

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ブーイングを用いた応援は迫力があるものですが、迫力というのは怖さにつながります。
まして、それを自分たちの味方に投げつけるとなると理解しがたい人もいるのでしょう。
「あんな怖い人達には近寄りたくない」そんな風に思われないために味方へのブーイングをしないという選択肢をとっているのですね。

これもひとつの賢い選択なのかもしれません。
味方へのブーイングがどうしても受け入れられないという人はこのようなチームを応援すると良いのかもしれません。

最後に

ブーイングは確かに外から見ると怖いものかもしれません。
しかし、負の感情をすべて押さえ込むのが健全とは言えないのではないでしょうか。

感情を爆発させすぎて物を壊したり相手のサポーターと直接ぶつかり合ってしまうよりも、ブーイングの応酬で済んでいるほうがずっと健全なのではないでしょうか。

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