「サポーターをめぐる冒険」読了メモ すべてのサポーターと「何か面白いこと」を探している人に読んでほしい本
遅ればせながらはとのすの中の人こと中村慎太郎さん初の著作「サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった」を読んでみました。
本の冒頭はブログに掲載された記事に大幅に加筆、修正を加えた観戦記から始まります。
一番初めに出てくるのは「はとのす」が一躍有名になるきっかけともなったこの記事。
Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった。 | はとのす
書籍ではもっと物語風に書き直されていますが、この文章が面白いと思うなら絶対買い!な本です。
この本の中にはいくつもの観戦記が出てくるのですが、その中には必ず食べ物の話が出てきます。
初めて見た試合がFC東京戦だったのが大きく影響したのでしょう。立派なイナゴになられたようです。
とにかく表現力豊かで、Jリーグと食べ物の魅力を存分に伝えてくれます。
香川のうどんを食べたことがない私が本場の讃岐うどんを食べたくなったのですから、Jリーグを見たことがない人がこの本を読めばきっとスタジアムに行きたくなるに違いありません。
夜中に読むとお腹が減るという、不思議なサッカー本です。要注意です。
この本の魅力は、中村さんの観察力と表現力から生まれているのだと思います。
どこのチームのサポーターでもないという立場だからこそ行われる、サポーターの比較も興味深い。
さらに、自分自身は特定チームのサポーターではないという立場でありながら、サポーターのチーム愛を的確に感じ取り表現されています。
1つのチームに入れ込まなくても、その日応援するチームさえ決めればJリーグはこんなにも楽しめるのだという証ともなる文章でしょう。
なんというか、この本を読んでいるととっても心が躍るのです。
それは、スタジアムに向かう前のワクワク感に良く似ています。「これから何が起こるのだろう」そんな期待とほんのちょっとの不安が沸き起こり、ページをめくる手が止まらなくなります。
とにかく、Jリーグチームのファンやサポーターには絶対読んでほしい。
我々サポーターが普段何気なく接している事象も、ご新規さんからみれば十分に魅力的なコンテンツなのだということを知ることができます。
友人や知人をスタジアムに誘う際にヒントとして使えそうな事例もたくさん。
そして、「何か面白いことないかな」が口癖になっている人にもぜひ読んでほしい。
ここまでぼくが経験し語ってきた物語は決して特殊なものではない。サポーターと言われる人達が多かれ少なかれみんな経験してきたことなのだ。
本書の最後に出てくる文章ですが、まさにこの通り。
スタジアムというのは本当に面白い場所なのです。この本を読んで、スタジアムに足を運べばそんな退屈も吹っ飛んでしまうはずです。
しかし、今までJリーグのサポーターはその魅力を上手く伝えることができなかった。
だからこそ「はとのす」に掲載された冒頭の記事が歓迎されたのです。
この本は、間違いなくJリーグのサポーターを増やしてくれる。
そんな本だと確信しています。